今日は、背の高いボイスコイルボビンをカットする加工について説明いたします。 なぜ、この加工が必要なのでしょうか。
当社の販売しているボイスコイルは、専用ボイスコイルもありますが、数種類の機種に適合する汎用のものもあります。
専用のボイスコイルは、例えば、JBL D130用の #1808-8 というアルミ線のボイスコイルです。D130用に製造され、各サイズは、オリジナルとほぼ同じですから改造の必要はありません。
汎用のボイスコイルは、アルテック515B用やJBL2121用に使用される#1600-8などが該当します。
汎用でも強いて改造しなくても、失敗無しにリコーンできますが、ボイスコイルの背が高いと、ボイスコイルを磁界に正確に納めた場合は、ボビンの上部が飛び出すことになります。これは、失敗ではありませんが、それを隠すために大きなダストキャップが必要になり、見かけがオリジナルと異なるものになる場合もありますので、そのような場合対策として高いボビンカットするのです。
次の2枚の写真は、JBL LE8Tのリコーンキットのボイスコイルの比較です。上の写真は、ボイスコイルの背が高く、磁気範囲合わせると、ダストキャップが飛び出る例です。下の写真は、正常位置に納まっています。なおダストキャップは、写真撮影用にDCP2085という紙製のダストキャップを使用しています。
今回は、丸銅線のボイスコイルのボビンをカットする加工を説明いたします。エッジワイズ巻きのボイスコイルは、構造が違いますので、次回の応用編で説明いたします。
用意するパーツと道具等は、 ◎ボイスコイル#6125-8(JBL LE8T用の50ミリ径汎用ボイスコイルです。) ◎ 紙管 (ボイスコイル#6125-8を収めることが出来る50ミリ径の紙管です。) ◎カッター(オルファ社)、ノギスや物差し、サンドペーパー240番程度 荷造りテープ があれば結構です。
今回の加工は、具体的には、ダストキャップのボビン上部を5ミリカットする加工です。 1 まずボイスコイルボビンは、変形しやすいので、紙管に収めます。ここで、スカスカで緩い場合、荷造りテープを紙管に巻いてピッタリ納まるようにします。これで外周を押さえても真円の変形は無くなります。写真は、紙管に荷造りテープを巻いてボイスコイルの内径に近くなるよう調整しています。
紙管にボイスコイルを収めたところです。ピッタリです。次に余分なボビンのカットです。
2 次にコイル上端から、等間隔で印をつけていきます。この印のところでカットするわけです。
カットはカッターで少しづつ慎重かつ丁寧に切り込みます。
ここでご注意点は、2本引き出している銅線を避けてカットすることです。もしも、誤ってカットした場合は、1周コイルを解かなければなりません。左と右のユニットを比較して抵抗値が、異なる場合は、正常な片方のボイスコイルも1周コイルを解かなければない場合もあります。 3 2本引き出している銅線の箇所は、銅線をカットしないように、ボビンをカットしてください。
4 サンドペーパーでカットした箇所を整えて完成です。ボイスコイルのボビンの上辺には、ダストキャップが納まりますので、水平かつ滑らかのカットされなければなりません。
余分なボビンを切取ったボイスコイル(右)です。