私がオーデイオを始めた40年以上前から欲しいと思っていた米松合板が来月中旬に入荷します。
かつて1950年代のJBLやアルテックのビンテージスピーカーに使用されていました。
しかし現在の流通状況を考えると幻の材料といっても過言ではないように思います。
不思議なことに国内では、米松材は大量に取引されているにもかかわらず、米松合板は、以前から取り扱い業者が殆どありません。
ビンテージスピーカーが好きなマニア様でも実際のところ、米松合板について詳しい方は殆どいないと思います。
アメリカの林業工業製品ですから、ネットで調べても日本側に詳しい資料もありません。
この材料について非常に興味があったのでこれまで長年にわたってアメリカの業界団体から資料を取り寄せて調べました。
膨大な資料があるのですが、スピーカーボックス材料用として選定されるの米松合板のみにフォーカスをあてて説明いたします。
まず、米松合板は、林業・工業製品ですので、日本のJAS規格に相当するアメリカの業界団体の製品規格で製造されています。
それは、APA エンジニアードウッド協会 と申します。 APAは、アメリカン・プライウッド・アソシエーションの頭文字の省略形です。
アメリカで生産される合板類(合板関連を含む)に必ずJASマークのようにAPAスタンプが押されています。
APA(アメリカのサイトで英語です。)https://www.apawood.org/plywood
APAの簡単な歴史です。 1933年に ワシントン州 タコマで設立しています。 ここは、良質な米松材の最大の産地です。
それまでのダグラスファー合板協会が名前を変えて製品の規格統一と業界の発展のため設立された歴史ある非営利業界団体です。
もともと米松合板の業界団体でしたが、ここ30年で業界の環境が大きく変わり、合板の生産は減少し、OSB(オリエント ストランド
ボード アスペン等の木片の向きを統一してを接着剤で固めた板物)が主役になってきています。
将来的にさらに合板の製造は少なくなり、何十年後には市場から姿を消すと思います。
1950年代に製造されたスピーカーボックスにAPAのスタンプを見たことはありません。
JBLやアルテックが、合板メーカーと直接取引したのでAPAスタンプが無いのかもしれません。
ただし、合板の表裏がハイグレード(AまたB級)である場合は、スタンプは表面に押さず木口に押すために目立たなくなります。
スピーカーボックスでは、節穴や欠点のある建材グレードを使用せず、高級なグレードの合板が使用されていたはずです。
見かけを重視する場合、表面にそれを損ねるスタンプなど押さないのです。
逆を言えば、グレードの低い合板には、外観を考慮しないので表面に堂々とAPAスタンプが押してあるのです。
次回は、スピーカーボックスに使用可能な米松合板の樹種や種類についてです。
APAに認可を受けて生産された合板には、各工場でこのスタンプが押されています。
11人載っても大丈夫な米松合板ということでしょうか