注文した米松合板は、船に載って順調に航海してアラスカ沖まで来ています。
船のスピードが15海里となっていますから時速27キロということで相当遅いですね。
次の寄港は、釜山港でコンテナを下ろして小さい船に積み替えして、門司港へ運びます。
前回は、アメリカで生産されている合板の業界団体について簡単に説明しました。
このAPA(アメリカ合板協会)は、当初米松合板(ダグラスファープライウッド)の業界団体でしたが、近年では、環境保護・資源再利
用・技術革新等から多様な合板類を扱う業界団体になっています。
ここでは、スピーカーボックスに使用可能な米松合板にフォーカスします。
今回は、米松合板に使用される樹種です。 実は、通常流通されている米松合板は、100%米松(ダグラスファー)製ではありません。
表面裏面が米松でも芯材まで米松を使用するように製品規格(PS 1-95)は要求していないからです。
つまり殆ど米松合板の芯材が米松をしなくても良い規格で製造されているのです。
APAは、建築・工業用合板に関する米国商務省のPS 1-95の合板規格に準拠して製造されていることの証明で製品にお墨付きのスタンプを押しているのです。
ただし100%米松製の合板も販売されていますので今回輸入しました。このグレードの合板は、次回以降に説明します。
樹種ですが、下記の通り強度順に分けています。
この表は、米国商務省の合板製品規格 PS 1-83の樹種区分です。
約70種の樹種を曲げ強度・剛性にに基づき5つのグループ分類しています。
最も強度のある樹種をグループ1として以下2・3・・・と弱い樹種に分類しています。
APA合板のスタンプには、どの区分の樹種なのかグループ番号で表示されています。
下記がAPAのスタンプです。 表面A級 裏面C級 屋外用 サンド掛けされた米松合板のスタンプです。
このグレードは、建材用ではなく、家具、造作、工業製品等向けです。通称ACサンドといわれています。
そこに表示されている グループ1が米松とそれに類する樹種を使用した合板であることを示しています。
樹種区分表です。 グループ1から5まで、約70種の樹種を強度等順に区分けしています。
表 まずグループ1の樹種の説明です。(すべてにコメントしていません。)
アピトン・・・南洋材で木製ホーンなどで使用されます。有名なところでは、パイオニア EXCLUSIVE(エクスクルーシブ) model 2402の ボックスにアピトン合板が使用されていました。非常に重く強度があります。しかし、けっして高級な素材ではありません。その対腐朽性から枕木等に使用されています。
バーチ・・・高級スピーカーボックス用で使用されています。バーチ合板は、扱ったことがありませんが、製品のばらつきが少ないようです。密度が高い合板で、製品としては、米松合板よりもグレードが高いと思います。
米松1(ダグラス ファー)・・・あの独特の木目の樹木です。堂々とした樹高80メートルになり、生産量、強度も針葉樹では、ナンバー1の樹木です。
全体的にオレンジ色の赤みがあり、持つと重く確りした印象の樹種です。
木肌は、ヒノキのように緻密ではなくやや粗いです。年輪が明確に出ています。
産地によりばらつきがあり、優秀なものは、非常に重く強度が大です。
乾燥したものは加工性が非常に良く反りなどが少ないです。
ダグラス ファーと呼ばれるのは、1700年代後半にデビッド ダグラスという植物学者が発見したからです。
ファーとは、松ではなくモミ類です。
米松1となっているのは、産地による強度分類によるからです。
米松1は、ワシントン・オレゴン・カルフォルニア等で育成分です。
ウエスタン ラーチ・・・日本でもラーチ(唐松)合板として販売されているのでコメントします。
アメリカでは、米松とこのウエスタンラーチは、同等に扱われています。
つまり、樹種は違うのですが、外観、強度などが見分けがつかないくらい同じですから同様に扱われているのです。
しかし、圧倒的に米松の産出量が多いのでラーチの比率は少ないはずです。
日本のラーチとアメリカのそれの比較ですが、樹種の違いは遺伝子検査の結果を見たわけではないのでわかりません。
しかし、育成した産地の気候条件で大きく樹木の品質が変わります。
一般的にアメリカの方が、大きいい木を伐採しているとおもいます。
ウエスタンラーチは、米松の育成地域とは、異なりオレゴン東部・ワシントン東部・アイダホ・モンタナとされています。
米松よりも小柄な木で樹高60メートルです。
日本で販売されているラーチ合板は、建材グレードですが、価格も手ごろでコスパが高いと思います。
ホームセンターなどで、選定させてもらえば良い木目の合板も入手可能です。
ただしサブロク版で小さくて木取りの効率が悪いことや、希望する厚さが無いことが難点です。
サザンパイン・・・これも外せない樹種です。
ロブロイ・ロングリーフ・ショートリーフ・スラッシュの各パイン(松)材の総称です。
これは、アメリカの南部の樹種で、黄色いので、サザンイエローパインとも表現されます。
これも米松と並ぶ優秀な樹種です。全体的に黄色く、木目が明確で、重く強度があります。
アメリカ西海岸では、米松材は主流なので殆ど流通していません。
当方の地元に城島遊園地にジュピターという木製ジェットコースターがあります。
それがこのサザンイエローパインで作られています。
完成して30年くらいになりますが、現在も稼働しています。
乗ったことがありますが、カタカタと音が出てスリルがあります。
薬品加圧注入していると思いますが強度がある樹種です。
なぜ名称がジュピターなのかですが、英語訳は、木星ですね。お分かりだと思いますが、素材は、木製です。
グループ2以下は、省略いたします。
ただし、グループ2の米松2は、ユタ・ネバダ・コロラド・アリゾナで育成した米松が該当します。
この産地の米松は強度が劣るということになります。