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リフレクター板の製作で薄板を型に入れて曲げました。
大きなレフレクター板とアウター、インナーの3種類の板を曲げました。大きさ、厚さなど異なります。
これは、中央のリフレクター板の上部です。何枚もの薄板を重ねてこのような形状に加工します。真ん中下に幅数ミリの
溝を掘っていますがわかりますか。
この溝は、このように金具が嵌り、確りと固定させる役目の物です。
内側から見たところです。本体の上部にこの金具を取り付け、リフレクター板を上から差し込み
この金属を溝に入れて固定させるのです。
パラゴン レプリカの製作では、3種類の曲面を作る必要があります。
まず、一番に目につく中央のリフレクター板です。
大きさは、幅170㌢、高さ71㌢ 厚さ9.5ミリです。
次にこのリフレクター板の後ろにホーンロードの一部になっているインナーホーンと
375ドライバーと075を設置するアウターホーンがあります。
先日に製作した曲面製作用の木型を毎日使用して上記の曲面を製作しています。
レフレクター板は厚さが9.5ミリです。
そのプレスが完了しましたので、型から外して仮組立の本体に取り付けてみました。
今回のリフレクター板は、型が正確に形成されていますので板がしっかりと接着されていますので今後の作業が楽です。
まだ仮組立ですが、やはり リフレクター板を取り付けると背が高くなるので迫力があります。まだインナーホーンは取り付けて
いません。リフレクター板の左下には、溝切があって加工してからそこに差し込みます。従って約2センチ沈みます。
表から見えませんが、ご覧のように、まさに低音ホーンは、ラッパの形状です。左のバッフル板にウーハーを取りつけます。
仮組立の為、ピエールアングルクランプA20で固定しています。右上のコーナーは、ロックマイタ―ビットを使用した
接合です。
約一月以上前から リフレクター板用の型を製作していましたが、やっと納得いくものが出来ましたので、1枚目のリフレクター板のプレスを行なっています。
湾曲している大きなパネルの製作は、簡単そうに見えますが、はっきり言ってノウハウの塊です。
均等なカーブを形成することは簡単ではありませんでした。
メトロゴンでも同様のリフレクター板の型を製作したのですが、今回は、うまくいかず時間がかかりました。
時間を十分に取って、型に修正を施しましたので、一回目のプレスに状態で納得いく仕上がりを確信しています。
型の仕上がりが良いとプレスが均等になり、何度でも同じ形状のリフレクター板が出来上がるので、修正が不要で楽です。
設計図には、型の製作の事など全く記述がありませんから当時JBLの職人に聞いてみたい気持ちです。月曜日朝にリフレクター板の
プレスが仕上がります。
パラゴンレプリカを1958年の設計図に基づいて忠実に製作しています。
今日は、製作上唯一「雇いざねはぎ」の箇所がありましたので、専用治具を作ってその加工を行いました。
要は、接合する両方の木口に溝を掘って、そこに木片を差し込んで接合すればよいのです。
接着剤の接触面が増えるのでより接合強度が増すのです。
簡単な接合ですが、このパラゴンの場合接合角度が52度と半端で、しかも広いパーツに溝を掘らないといけないので、意外と難しいのです。
因みにこの接合方法は、メトロゴンでは、ありませんでした。D55エベレスト レプリカの場合は、バッフル板に2箇所ありました。
下側のパーツに木片が埋め込まれています。 上側にパーツには溝掘りがされています。溝の幅と深さは、
設計図で指定されています。
接合するとこのように両方の角度を合わせて104度角で確り接合します。パラゴンでこの接合が採用されているのは、
前面両端です。
裏面です。接着剤併用で組立てます。
本日、注文していたパラゴンレプリカに使用するハイドグルーや 手工具が入荷しました。
先日も申し上げましたが、パラゴンレプリカ製作でハイドグルーを使用することにしました。
1950年代の後期に使用されていたと思われる接着剤としてハイドグルーを使用するのです。
ハイドグルーは、少し獣の臭いがします。しかも湯煎して使用します。このように扱いが面倒な点が
現在余り使用されない理由だと思います。
同時に購入した、ベリタス(カナダ)のスポークシェーブとARNO(フランス)のベニアハンマーです。 スポークシェーブは
飾り足の削り出しで使用し、べニアハンマーは突板貼に使用します。
裏蓋が出来たので、使用する TAD4001 ドライバーホーンとJBL K145 ウーハーを取り付けてみました。
実は、以前からこのユニット使ってパラゴンを鳴らしてみたいという強い希望をもっていました。
少々ことならば改造をしてでも組み込んで鳴らすつもりです。
どちらのユニットもJBLオリジナルユニットより大きいので心配になり、実際のユニットを装着するなりして今後の製作の参考にしまし
た。
TAD 4001ドライバーは、375より奥行きが20ミリほど長いので側板に干渉しないか心配でしたが、置いてみて十分な余裕があることがわかり安心しました。
実際の飾り足とホーンの取り付け箇所の製作は最後の難関です。
上から見たところです。
JBLK145を取り付けてみました。何とか取り付け可能です。しかし裏蓋が一部のフレームが5ミリほど出っ張っているので
閉まりません。写真では、左の部分です。メトロゴンの製作時にも同じようにトライしてみましたが、本体を大幅に改造する必要が
ありましたので断念しました。裏蓋を削ればK145も装着可能なので、後日改造いたします。
130系、LE15系、2205系などは、38センチ口径ですが、K145は、40センチ口径ですので、取り付けが一苦労です。
しかし、フィックストエッジを持ち、前後にフラフラと殆ど動かず低音が出るのでフロントホーンロードに最適なウーハーではないかと思っています。
ウーハーボックスは、メトロゴンより広いのですが、ウーハーをななめに設置するので、裏蓋のパーツがウーハーに干渉しないように
2本の補強材の設置位置も変更しました。
暑い日々が続いていますが、汗だくで作業しています。
あまりレポートするような内容はありませんが、ウーハーボックスの裏蓋ができましたので写真を掲載します。
2本の補強を入れました。ドライバーに干渉しないように設置する必要があります。
補強材は、29ミリ厚の米松材です
補強材の配置も重要です。狭い空間ですから注意を要します。
ウーハーボックスの裏蓋はオリジナル設計図通りに設計していません。
というのは、オリジナル設計図では、1/2インチ厚(12.7ミリ厚)のパーチクルボードの指定があり、
その通り製作した場合、ボックス自体の強度に不安があるからです。
そこで、1/2インチ厚合板に3/4インチ厚(19ミリ厚)のパーチクルボードを貼って約32ミリ厚の裏蓋としました。
ルーターテーブルでJBLネットワーク開口を指定通りに開けました。ネットワークの位置は、パラゴンの制作年代によって
数種あります。この下側で横並びに2個開口は、ウーハーがフェライト化された後期モデルの配置を参考にしています。
なお、パワーエナジャイザーの開口は開けていません。
これが、パラゴン後期の裏蓋の配置です。 取り付けているのは、JBL3115ネットワーク2個500ヘルツクロス)です。
横に2本の米松無垢板(25ミリ厚)の補強板を後で取り付けます。
本体に取り付けてみたところです。
裏蓋の右側の部分は、米松の太い無垢材を使用するよう指定されています。確りと太い支柱がキャビネットの真ん中に立って
います。
パラゴン レプリカの制作では、あらたな試みとしてハイドグルー(膠)を使用します。
前回のメトロゴン レプリカの制作では、タイトボンドⅢをメインに使用しました。
タイトボンドⅢは、使用の状況は 色々ありましょうが、最高の接着剤の一つだと思います。
その優秀な タイトボンドⅢに替えてハイドグルーを使うのです。
パラゴンは1950年代後期に制作です。このころには既に優秀な接着剤が開発されていたようです。
当時のJBLのキャビネット制作の職人は、新しく開発された接着剤を使用したのでしょうか。
それとも古くから使用されている ハイドグルーを使用したのでしょうか。
私の調べでは、どちらを当時使用したのかわかりません。
もちろん設計図には、指定がありません。
一方で、弦楽器制作(特にバイオリン制作)では、名器が輩出された中世から現在までハイドグルーが専ら使用されているようです。
その一番の理由は、音が良いからでしょう。
ハイドグルーは、材料が獣の皮膚、骨等が材料で、少々悪臭があります。
それに約60度で湯煎する必要があり、取扱方法が現代に接着剤に比べて面倒です。
利点は、熱を加えれば接着箇所が、剥離しますのでやり直しが可能です。
やはり一番の利点である音が良いのではないかという理由で、ハイドグルーにしました。
仮組立を行なってパラゴンの特長が出てきました。
仮組立でパーツの位置関係と接合具合いが分かりたいへん有益でした。
部品の配置も問題ないことが確認できました。
左フロントですが、全て突板を貼ります。
左下もパーツがキレイに納まりました。
この穴には、リフレクターパネルの一部が収まります。
ここも細かいですが、突板を貼ります。いい感じのデザインです。
仮組立てのレポートが多くて申し訳ありません。
パラゴンになるとパーツの位置関係が複雑で、サイズが正しいのかもわかりませんので、
何度も仮組立を行い今後の製作に役立てます。
ウーハーのホーンロードです。パラゴンの場合、左右が完全にセパレートされています。間に約1.5インチ(38ミリ)
の空気層もあります。天板は、2重で厚さ38ミリです。底板は、3重で厚さ57ミリです。
セパレ-ト部分です。このように空気層を設け他方の影響を低減させています。
フロントの下部です。ここは、2枚重ねで厚さが38㍉あります。ロックマイタ―ジョイントで木口を隠す板を取り付けて
います。この部分は、べニアを貼りますので、細かい作業が今後も続きます。
パラゴンは、販売開始が1957年で約60年前です。
当時の製作に携わった職人さんも少なくなり、パラゴンの真実が、伝説化しているように思います。
私もパラゴンレプリカ製作にあたって、パラゴンの真実を探求しています。
パラゴンほどになると、最初からあの画期的な美しい造形が出来たのではないようです。
いくつかのプロトタイプが製作されて最終的に皆様がよく御存じのあの形になったと思われます。
私が、これまでに把握したプロトタイプは、以下です。
なお、ネットで閲覧できる写真等は、所有者の了解を得ていませんので、公開できません。
コメントの細部は、想像で書いた面もありますので、真実ではないかもしれません。
1 パラゴン&メトロゴンのハイブリットプロトタイプ(製作年不明)
中央のリフレクターは、大きさは正確に合わかりませんが。メトロゴンと同じカーブです。
従ってカーブの緩いパラゴンより小ぶりです。
中央は、メトロゴンそのものですが、両サイドの形状は、パラゴンに類似しています。
パラゴンとメトロゴンのハイブリットの形状です。
一般的なパラゴンの中音ホーンの箇所に30㌢口径のウーハーが小型の立方体の箱に入って設置されています。
これは、パラゴンと呼べるものではないかもしれません。
思うにこのモデルが一番早い時期に製作されて、パラゴンとメトロゴンに派生したと思われる形状です。
2 飾り足のないプロトタイプ。(製作年不明)
見かけは一般的なパラゴンにかなり近いですが、あの優美な造形の 飾り足がないタイプです。
またユニット配置ですが、なんと075ツィーターが375よりかなり下に設置されています。
米松合板がふんだんに使用されています。
中音ホーンは片側のみ固定されています。
飾り足はありませんが、底板にメタルの保護材が付いた短い足がついています。
ユニット構成は、075+375+150-4Cです。
3 足の短いパラゴン(製作年1957年頃)
1957年のJBLパラゴンの専用カタログをご覧ください。
正面からのパラゴンの写真が何か違和感がありませんか。
よく見ると足が短く、しかも飾り足の形状も一般的なパラゴンと異なります。
カタログ上は見たことがありましたが、この形状で販売されたものは、見たことがありませんのでプロトタイプとさせて頂きました。
4 スタジオ用パラゴン これも1957年のJBLパラゴンの専用カタログからです。(製作年1957年頃)
家庭用ではなく、スタジオの壁埋め込み用パラゴンです。
簡単に言うと生産型のパラゴンの天板、底板、側板、リフレクター板を取り去った形状です。
壁に埋め込むよう設計されたようで、装飾が全くありません。 。
カタログで見たのみで実際に設置されたものを見たことがありません。
殆どのパーツ切出しが終わり細かい加工を行なっています。
今回は、朝起きた時からこのパーツの加工方法を考えていました。
いや、10年以上前にパラゴンレプリカを製作を決意するときから、このパーツの加工方法を考えていました。
しかし、これまで現在所有する道具・機械を駆使しても決定的な加工法は思いつきませんでした。
今日も朝から数種の道具を引っ張り出して試行錯誤しました。
やっと午後4時過ぎに画期的な方法が閃き、安全に正確に迅速に加工することが出来ました。
木工が面白いのは、やり方が数百通りあっても、安全に、正確に、迅速に出来る方法があるので
それを知恵を絞って発見することです。
天板のフロントの加工です。通常は、この加工は、テーブルソーなどで簡単に行えますが、幅130×縦70センチの大きな
パーツの斜めカットの加工ですから非常に難しいのです。
このように大きいパーツの一部加工です。
この加工の上にウォールナットのべニア(突板)を貼ります。ここは、前面の左(右)上です。
既存のJBL N220(L220用のネットワーク)の2405ツイーターと2420スコーカ―のハイパスフィルター用コンデンサーをMUSICAP(ミュージキャップ)コンデンサーに交換しました。
早速DD55000エヴェレスト レプリカにN220を取り付けて試聴しましたが、中高音が明らかに大きくなった印象でした。
新コンデンサーのエージングで音が変わる可能性もありますので、MUSICAP(ミュージキャップ)のレポートは後日します。
左の黄色いコンデンサーと右の大きいコンデンサーを新コンデンサーに入れ替えしました。
新しいMUSICAPコンデンサーは、かなり大きいので別基盤におさめました。
N220用ネットワークボックスを製作しました。
先日入手したエヴェレストレプリカ用のJBL N220ネットワーク用の交換用フィルムコンデンサーを購入しました。
MUSICAP(ミュージキャップ)というアメリカ製のコンデンサーです。
ネットワークのコンデンサーで音が変わるらしいのですが、大きくて確り作られているミュージキャップを選びました。
N220では、ツィーター、スコーカ―のハイパス用コンデンサーをこのミュージキャップに交換します。
以前は黄色のカバーでしたがブルーになってます。引出線は、15AWGの太い撚り線です。
2.2μF です。長さ66ミリ、直径20ミリ、重さ40gです。
3.0μF です。長さ78ミリ、直径23ミリ、重さ50gです。
6.8μF です。長さ93ミリ、直径31ミリ、重さ104gです。
パラゴンレプリカ用のバッフル板にD130改(厚いガスケットで奥行を深くして150系用のコーン紙でリコーンしています。)とK145(楽器用/オリジナルコーン紙)を仮に装着してみました。
やはり130系では問題なく装着出来ますが、大きいK145は、少々削るなどして装着が出来るかどうかということでした。
まずD130改は問題なく装着出来ました。
以前パラゴンオーナーが、LE15Aのウレタンエッジがバッフルに干渉するというトラブルがあったと言っていたが、
D130改の場合問題ないと思われます。
ガッチリバッフルに付いています。
D130改は、通常のD130より約12ミリガスケット部分が厚いのですが、長いボルトで装着しています。
次にK145を装着してみました。K145は、本来楽器用ですが、見かけとは違い、柔らかく重い低音が出ます。
フィックストエッジで、大きく前後にコーン紙が揺れることは、全くありません。しかしコーンは、殆ど動きませんが
低い方まで低音が出る珍しいウーハーです。40センチ口径ですので、少しはみ出ます。
K145は130系よりも全体的に大きいですが、コーン紙は、130系よりも口径が小さいのが特徴です。
エッジにバッフル板が干渉しません。
K145の巨大なフレームで左側の外周付近が出張っています。横壁を削れば装着できるかもしれません。
パラゴン製作で、あまり注目されませんが、地道に小さいパーツも 正確に丹念に製作しています。
小さい部品は意外ですが、製作が難しいのです。
なぜならば、機械で正確に切断するのですが、作業が細かいので刃先に手を近づけることが多くなり作業が危険になるからです。
従ってなるべく大きい(長い)ものから小さい(短い)ものを切り出すように心掛けています。
上段は、リフレクター板と本体のインナーホーンの間に取付付けるクサビです。
中段は、フロントパーツのグルーブロックです。
下段は、長いフロントパーツのグルーブロックです。 お箸より少し太い位です。
目の詰まった米松材を使用しています。もちろんオリジナル設計図の指定通りです。
パラゴンの製作は、目新しいことが多くとても楽しいです。
奇妙な形状のパーツがスピーカの何処に配置されるのか、三次元の思考回路が 働くからです。
平面的な設計図を見ても複雑なパーツ配置が多くて、 イメージがわかないことが多いです。
ああでもない、こうでもないと考えるうちに閃いて設計図の真意がみえることが楽しいです。
今日製作しているパーツに、飛行機の羽根のような形状のパーツがありました。
しばらくの間、どこに組込まれるのか考えていましたが、低音ホーンロードの中頃に設置されるフィンだということが分かりました。
パラゴンの外からは、見えませんが、ホーンの左右の壁と壁に橋渡しされ、補強や音の流れを良くする(?)目的で取り付けられているようです。
19ミリ厚のパーチクルボードです。左右の両辺を削ってアールを付けています。これを長さ15センチくらいに切って
低音ホーンの中に取付けます。
パラゴンは、インナーホーンに穴を開けて、075と375を設置する構造になっています。
そのインナーホーンの外側に取り付けて、375ドライバーを確り固定するクランプのパーツを製作しました。
目の詰まった重い米松材の為糸鋸でのカットは、一苦労でした。 ペーパーを掛けて更に滑らかにします。
中に375ドライバーなどを挟み両端をねじ止めします。それで確り固定されます。375ドライバーは直径180ミリで、
個の開口の円も同じ直径180ミリです。
パラゴンとは、関係がないのですが、N220の格納ボックスを製作しました。このN220は、エベレストレプリカ用に
調達したネットワーク(800Hz、5000Hzクロス 本来は、L220のネットワーク)で、裸のまま、使用しているので、
今後の改造も視野に入れボックスに格納するようにしたのです。
N220は、4本のネジでこのボックスと確りと固定します。